ベネンシアを使って樽からワインを汲み出し、グラスに注ぐ優れた技術を持つ人。元来ボデガ(貯蔵熟成庫)で樽内のシェリーの試飲をするときにサンプルを採るのが仕事だったが、現在はシェリーのプロモーションで活躍。ベネンシアドールという名称のもとに世界的に活躍した最初の人はフリオ・デルガド。片手に持った16個のグラスにシェリーを注ぐことができた。
■ ベネンシア:
主にシェリーやモンティージャ・モリーレス(シェリーと同じくアンダルシア産で、シェリーに似たワイン)のメーカーで使われる細長いひしゃく。
■ 形:
全長約90センチ。合成樹脂製の柄の一端に円筒形のステンレス製のカップ(約50cc)、もう一端に掛け金が付いたもの。昔は柄がくじらのヒゲでカップと掛け金は銀製だった。サンルーカル・デ・バラメダでは竹製を使用。表面のフロールをできるだけ傷めないでフロールの下のワインを汲み出すため細長い。
■ 用途:
樽の中のシェリーを試飲するために汲み出し、試飲グラス(カタビノ)に注ぐ。
腰ぐらいの位置に持ったグラスに1メートルもの高い位置からシェリーを注ぐのは、グラスに至るまでにシェリーを空気に触れさせて香りをたてるため。
■ 語源:
AVENENCIA=協定、合意といった意味の言葉。
シェリーを販売するときのサンプリングに使われたため。
■ 歴史:
イタリアで発見され、ウィーンの歴史美術館に保存されている紀元前490年の壷に、古代ギリシャでワインを注ぐのに使われていた道具がベネンシアと同じような形をしていたという記述が M.M.ゴンサレス・ゴードン著の「シェリー」やワーナー・アレン著の「ワインの歴史」他に見られる。
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・シェリー輸入元とボデガ
・Sherry Ofiicial Educator